仕立物の針仕事

「ほんに。――喧嘩やろか」 豹一はしょんぼり立ち上って、すごすご路次を出て行った。道頓堀の勝はとっくに姿を消していた。

[#6字下げ]二[#「二」は小見出し]

 薄暗い電燈の下で、お君は仕立物の針仕事をしていた。 下寺町の坂を登って来る電車の音や、表を通る下駄の音は凍てついた響きに冴えて、に...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:19 pm  

噂によると

 北山をげっそりさせた。 噂によると、これまでどの女優にもそんなことをしなかった品行方正の北山が、舞台稽古の時たまりかねたのか、銀子をわざわざ舞台裏へ連れ込んで、永いこと銀子の頭に手をのせていたということである。銀子は随分いやがっていたということである。北山はすっかり面目をなくした。 しかしそん...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:18 pm  

レヴュー「銀座の柳」

 弥生座の舞台にレヴュー「銀座の柳」の幕が上った途端、二階の客席からそう奇声があがった。「東銀子頑張れ!」 知らぬ人は、東銀子とは舞台の前方へ一人抜け出してチャールストンを踊っている主役の踊子だと、思ったかも知れぬ。が、実は後列の隅の方で沢山の踊子にまじって細い足を無気力にあげている胸の薄い少女...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:17 pm  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0107 sec.

http://chuta-aivy.com/