われながら気持良かった

(莫迦々々しい。まるで俺が、電車賃を惜しんで、府庁へ行くのをきらったのだと思っていやがる)それで、彼の決心はいよいよ固くなった。「僕は今日限り廃めさせていただきます」わりに丁寧な声が出たので、われながら気持良かった。「なんでや? 藪から棒に――」 巧く理由が説明出来そうにもなかったし、また、一...

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当局の新聞取締がきびしくなり

(没にされたのだろうか、それとも次号廻しだろうか?)そんなことをしょんぼり考えているところへ、印刷所から、別刷りだと言って、百部ほど刷り上りを持って来た。見ると、「本邦畳史」が相当大きな見出しで載っていた。「別刷りというのもあるんですね」と豹一はそれとなく社長に訊いてみた。「へえ、おまっせ」社長...

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毎日が実に退屈な、無気力な日々の連続であった

 もはや自分が許しがたい人間になってしまったと、豹一はがっかりした。何故こんな風になったのかと考えてみたが、分らなかった。もともとはじめから、彼は働くことの面白さなどという贅沢なものを味わなかった。いきなり帯封書きだったのである。だから、毎日が実に退屈な、無気力な日々の連続であった。昇給のことでも考...

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